2024年06月09日
【盛土規制法(東京都)】
令和3年7月に静岡県熱海市で発生した土砂災害を契機として「宅地造成等規制法」が抜本的に改正され、「宅地造成及び特定盛土等規制法(盛土規制法)」が令和5年5月26日から施行されました。新たに宅地造成等規制区域が指定されるまで、最大2年間の経過措置が設けられていたのですが、東京都では令和6年7月31日から、盛土規制法に基づく規制が開始されます。
盛土規制法では、宅地、農地、森林等の土地の用途にかかわらず、盛土等により人家等に被害を及ぼしうる区域を、以下2つの規制区域として指定されることになりました。
(1)宅地造成等工事規制区域・・・市街地や集落、その周辺など、盛土等が行われれば人家等に危害を及ぼしうるエリア
(2)特定盛土等規制区域・・・市街地や集落などから離れているものの、地形等の条件から、盛土等が行われれば人家等に危害を及ぼしうるエリア等
東京都内では、島しょ部を含むほぼ全域が宅地造成等工事規制区域又は特定盛土等規制区域に該当することとなりました。
東京都のホームペジには、新制度への移行後の注意点として、以下の項目が掲げられています。
○ 規制区域内で盛土等が行われた土地では、過去の盛土等も含めて、土地所有者等ができる限り土地を常に安全な状態に維持することが必要。
○ 規制区域内で盛土等を行う場合は、あらかじめ許可又は届出が必要。
○ 不動産取引を行う際 、宅地建物取引業法に基づく重要事項の説明に際して、盛土規制法に基づく制限内容の説明が必要。
規制の開始に先立ち、盛土規制法に係る手引(審査基準含む)が令和6年4月30日に公表されたのですが、擁壁の構造計算の基準が以前の基準よりも厳しくなっております。手引きに掲載されているL型擁壁の標準図も以前のものに比べ、底版の長さが1.5倍くらい(高さにもよりますが)になっています。そのため、擁壁設計が必要な現場で造成計画を検討している業者様は、設計事務所が過剰な安全設計をしているわけではなく、構造計算の基準が以前に比べて厳しくなっている、という認識は持っておいてほしいものです。
神奈川県、横浜市、川崎市などの周辺の行政に先立ち、東京都が先頭バッターで手引きを公表したので、周辺の行政の手引きが公表されましたら、改めて紹介したいと思います。