よくある質問

質問 立会いに協力する法的な義務はあるのか。
回答 法的な義務はございません。立会に協力しなかったからといって、法的なペナルティが発生するわけではございません。
落ち葉やペットの管理、騒音など境界線とは関係のないことで過去にトラブルがあったため、心情的に立会には協力したくないという方もいらっしゃいます。しかし、心情的な話と境界線の話は切り離して考えた方がいいのでは、と思います。というのも、相続人で土地を分割する、建替えに伴いセットバックする、地震などの災害によりブロック塀を作り直す、土地を引き継いだ子供たちが売却するなど、将来的に立会をお願いするという逆の立場になったときに、協力してもらえない可能性が高いからです。特に、隣地といがみ合っている場合で、売却するので協力してほしいと頼まれた時は、境界立会に協力して早く売却して引越してもらった方がお互いにとって望ましいと思います。立会を拒否してギスギスした関係を長く続けるよりも、新しい所有者の方と良好な関係を築いた方がいいからです。
また、立会をお願いする立場の方は、土地を売却して高齢者施設に引越したい場合や、相続したので空家としてそのまま放置できないなど何らかの事情を抱えている方がほとんどです。なんで土地を売却したいという隣の都合でうちが協力しなければならないのかという考えの方もいますが、立会を拒否された売主様は、土地の売却ができずに不安定な立場におかれ、夜も眠れず精神的にまいってしまう方もいるので、何らかの事情を抱えて住民様に立会をお願いしている、ということはご理解頂けないでしょうか。
立会に協力して住民様が不利益を被る可能性は非常に低く、売主様側の費用負担によって境界の設置ができるのでメリットの方が大きいと思います。
質問 所有者本人が高齢のため、立会ができない。この場合、親族が代理で立会うことは可能か。
回答 可能です。所有者様が高齢者施設に入っていたり、膝の調子が悪く、立会うことが難しい場合は、親族の方に立会をお願いしております。
質問 遠方に住んでいるため、現地での立会は省略したいが、可能か。
回答 遠方に住んでいる方に立会の為に現地にお越し頂くことは、過度な負担となるため、書類の郵送やメールでやり取りさせて頂くことも可能です。その場合、現地の状況が分かる写真や資料をこちらで準備致しますので、事前にお申し付けください。ただし、道路の立会については、役所との立会となるため、現地までお越し頂いております。
質問 立会にかかる時間はどれくらいですか。
回答 おおよそ10分位になります。ただ、境界線に関して所有者様同士の認識が異なった場合は、時間が掛かるケースもございます。
質問 境界線に関する書類に押す印鑑は「認印」でいいのか。
回答 基本的に「認印」による押印をお願いしております。しかし、青地の確定手続きや役所に提出する書類の中には「実印」による押印を求めてくるケースもあります。こういった場合には、「実印」による押印をお願いしております。
質問 境界の位置をどのように特定しているのか。
回答 法務局備付の地積測量図や地籍調査の資料など【公的な裏付け資料】をもとに境界の位置を特定します。
測量を依頼した側に有利になるよう、境界の位置を特定しているのではないかと疑念を持たれている方もいますが、土地家屋調査士が優先するのは依頼者様の意向ではなく【公的な裏付け資料】です。土地家屋調査士は、公正中立な立場で【公的な裏付け資料】をもとに境界の位置を特定するので、依頼者様が有利になり、住民様が不利になるよう境界の位置を特定するといったことはございません。
裏付け資料の中でも証拠価値が高いとされるのが【昭和52年以降の地積測量図】【地籍調査の数値地区の図面】【区画整理の図面】などです。
昭和52年の不動産登記法の改正により、隣接地との境界立会が厳格化された関係で、【昭和52年10月1日以降に登記された地積測量図】については、比較的証拠価値が高いとされております。昭和52年の法改正以前は、現地の測量を省略して分筆した按分分筆(分割線を記入しやすいように按分して分筆)や公図をスケールで読み取っただけの机上分筆が認められていました。そのため、精度の低い地積測量図と精度の高い地積測量図が入り交じった玉石混淆の状態です。地積測量図の求積表の底辺×高さに着目すると、5.0×2.0のように計算がしやすいように数値調整した図面や、辺長の記載が小数点以下1までの記載(例:10.0m)となっているものは、現地測量は行わずに机上分筆した可能性が高い図面のため、境界線の裏付け資料として採用できません。また、昭和50年頃までは巻き尺を使って測量していた関係で、高低差のある部分に関しては辺長が過大に表示されやすいという特徴があります。
地籍調査の図面は、地籍調査を実施した年代により、平板地区(巻き尺で測量)と数値地区(機械で測量)の図面が混在しているのですが、数値地区(機械で測量)の図面は証拠価値が高いとされております。
区画整理の図面も作成された年代にもよりますが、証拠価値が高いとされております。
【公的な裏付け資料】が存在しない場合については、ブロック塀や万年塀などの構造物による長年の占用状態、法務局が公表している公図の形状、所有者様の境界線に関する認識などを総合的に勘案して、境界の位置を特定する形となります。
質問 境界が動くことはあるのか。
回答 境界が動くことはあります。具体的には、次のようなケースです。
1.境界の横をブロック工事や擁壁工事などで掘り返したケース
 境界杭の周りをフロック工事や道路工事などで掘り返したりすると境界が数cm動くことがございます。特に海岸沿いの砂地盤のエリアや地盤の軟らかいエリアでは、境界が動きやすい傾向があります。また、隣地との間に高低差があり擁壁を造らなければ土地利用できないケースでは、擁壁の型枠を組むため、一旦境界を抜いて、擁壁工事完了後に元の位置に戻すのですが、工事屋さんが一旦抜いた境界をおおよその位置に埋めてしまうケースも散見されます。ブロック工事などで境界の横を掘り返したたり、擁壁工事で境界を一旦抜いた時は、工事完了後に境界が動いていないか、元の位置に境界が適切に設置されているかの点検測量が必要です。

2.境界プレートがブロック塀の上に設置されており、地震などの影響によりブロック塀が傾いているケース
 地震などの影響によりブロックが傾くこともありますし、強風による風圧でもブロックが傾く(特に目隠しフェンス付のブロック)ことがございます。境界標を設置したブロックに傾きが確認出来る場合は、法務局に登記された図面などをもとに、登記された本来の境界の位置に境界標を再度、設置し直す作業が必要になります。

3.傾斜地において、建物の基礎工事で出た土を搬出せずに、建物外周に土嚢袋や簡易的な土留め(単管パイプ+耐久性のない板)で盛土したケース
 建物の基礎工事で出た土を搬出せずに傾斜地に土嚢袋や簡易的な土留めで盛土を処理した場合、ゲリラ豪雨などの大雨の影響により、大量の雨水を含んだ盛土が斜面地の下側に押されるため、境界を含んだ地盤自体が傾斜地の下側に移動するケースが崖地のエリアでは散見されます。建物外周の土間コンクリートにひび割れが入っていたり、建物と土間コンクリートの間に隙間ができていたりすると、土間の下の地盤が傾斜地の下側に動いていることが考えられます。
 崖の上側に住んでいる住民様が、建物の基礎工事で出た土を搬出せずに建物の周りに土嚢袋を積んで処理したりすると、土嚢袋が破けて崖の下側に土砂が流出することがあります。また、隣接地との境界明示のため傾斜地にブロックを積んでいる場合、ゲリラ豪雨などの大雨の影響により、大量の雨水を含んだ盛土が傾斜地の下側に押されるため、境界を含めた地盤自体が崖の下側に移動することもあります。動いた境界を元の位置に戻すとなると、傾斜地の上側に境界を移動せざるを得ないため、傾斜地においては境界を含めた地盤自体がゲリラ豪雨などの影響により崖の下側に移動することがある、という傾斜地の特性を知らないと、近隣関係の悪化を招く可能性があるので注意が必要です。
質問 土地家屋調査士の提案する復元案に納得がいかないので、他の土地家屋調査士の意見も聞いてみたい。その場合、どこに相談したらいいのか。
回答 市町村によっては、無料の登記相談会を毎月開催しているところもあるので、そちらを利用する方法があります。ちなみに町田市では月2回、市民向けの無料の登記相談(事前予約制)を市役所で行っており町田支部所属の土地家屋調査士が、順番制で相談員をしているので、こちらを利用する方法もあります。相談の際には、話し言葉だけではなく、図面や写真などできるだけ現地の状況が分かる資料を持参したほうがいいと思います。ただ、市民向けの相談会のため、自分が住んでいる市町村と、別の市町村が開催する無料相談は利用できないので、この点は注意が必要です。
質問 隣接所有者様が境界立会に協力してくれなかった場合、解決する方法はあるのか。
回答 相手方にも代理人の土地家屋調査士を立ててもらい土地家屋調査士同士で話し合う方法や法務局へ登記相談票を提出する方法が第1段階として考えられます。車で事故が起きたときに保険会社が代理人になって話をまとめてくれるのと同じで、相手方にも代理人の土地家屋調査士を立ててもらうことが可能であれば、土地家屋調査士同士で話をした方が、話はまとまりやすいと思います(特に住民様が、依頼者が有利、住民様が不利になるよう境界の位置を特定しているのではないかという疑念を持たれている場合)。
 それでも協力が得られない場合は、第2段階として筆界特定制度や境界確定訴訟などの法的な手段を使うことが考えられます。ただ、法的な手段を使うとお金も時間も掛かり、近隣関係の悪化を招きます。なので、できるだけ法的な手段を使わないよう、お互いに譲歩できる部分は譲歩し、落としどころを探り当てた方がいいと思います。
質問 地籍調査(国調)の成果を訂正することは可能か。
回答 法律上は可能だが、現実的には難しいと思います。法律上は、地方税法381条7項による市長村長からの地図の修正等申出が可能とされておりますが、持ち場が数年おきに代わる市役所において、地籍調査の成果の訂正に精通した職員がほとんどいないという実情があります。
 仮に訂正自体は可能と判断されても、自分の土地だけではなく訂正に関係する土地を含め、広範な測量が求められるため、訂正によって得られるメリットよりも高額の測量代が掛かるというデメリットが大幅に上回ってしまうため、泣き寝入りすることが多いのが実情です。
 地籍調査は税金で実施する事業のため、測量費用が掛からないというメリットがありますが、後で間違いに気づいた場合に訂正することが極めて困難というデメリットがあります。地籍調査の成果に異議申し立てが出来る期間は限られており、それを過ぎてしまうと訂正することが難しいので、地籍調査の成果に疑義がある場合は、早め(異議申し立てができる期間内)にお近くの土地家屋調査士に相談することをおすすめします。

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  • 土地家屋調査士・行政書士 石原事務所